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ロケット界の〝聖杯〟とは!? 完全再使用構想の歩みをSpaceXが公開

SpaceXが2026年9月18日(日本時間19日)、再使用ロケット開発の歩みを振り返るStarshipシリーズの最新作「The Holy Grail of Rocketry(ロケット工学の聖杯)」を動画で公開。その意味とは。

2026-10-04
テキサス州スターベースの夜景と発射塔(SpaceX公式サイト掲載)
テキサス州スターベースの夜景と発射塔(SpaceX公式サイト掲載)
写真:SpaceX発表元の報道用素材(権利は発表元に帰属・報道目的での利用)

〝聖杯〟の正体は100%再使用できるロケット

キリスト教の社会で「Holy Grail=〝聖杯〟」という言葉は特別な意味を持ちます。〝聖杯〟そのものはキリストが最後の晩餐で使ったとされる杯であり、それを探し求めることが非常に困難であったという伝説などが多く語られています。そこから転じて、努力の果てにたどり着く最も達成が難しい目標、いわゆる至高の目標という意味で使われる言葉です。

※杯は「皿状のものだった」など諸説あり。

SpaceXの公式YouTubeチャンネルが2026年9月18日(日本時間19日未明)に投稿した、約28分のStarshipシリーズ最新動画のタイトルが「Starship - The Holy Grail of Rocketry」で、ロケット工学の〝聖杯〟という訳語になります。そしてタイトルにある〝聖杯〟とは、100%再使用可能なロケットを指しています。少々大げさとも思える表現ですが、SpaceXの意気込みは伝わってきます。全編を通して主張されているのは「再使用こそが太陽系を私たちに開く。完全再使用が可能だと示せれば、宇宙探査において何でも可能になる」という考え方です。

動画は「ロケットの再使用は可能だ」との発想のもと、エンジニアたちが開発を進め、試験飛行を重ねながらその設計思想を証明していった過程を、洋上で回収されるStarshipの姿に重ね合わせています。

主役であるStarshipとは、宇宙船部分と1段目のSuper Heavy(スーパーヘビー)を合わせて全高124mの大型ロケット。公式ページでは「完全再使用できる設計で、かつ、100トン以上を地球軌道に運べるよう設計された、これまでで最も強力なロケットだ」と説明されています。

1段目だけで、液体メタンと液体酸素を推進剤とするSpaceX独自の高出力エンジン「Raptor(ラプター)」を33基束ねます。そして宇宙船と1段目はそれぞれ発射地点に戻ると、大幅な整備なしで再び打ち上げられる設計です。

これまでの飛行試験では、安全性の懸念から意図的に軌道へ乗らない飛び方(地球を一周する前に降りてくる弾道)が選ばれてきました。その段階を抜けたのが、2026年9月28日(日本時間同日21時48分)にテキサス州スターベースから打ち上げられた第14回飛行試験です。Starshipは初めて地球周回軌道へ入り、搭載していたStarlink V3衛星26機を軌道に放出しました。

飛行は万全ではありませんでした。1段目のSuper Heavyは上昇しきったもののRaptor 1基が停止し、分離後にメキシコ湾へ着水。宇宙船側も真空用Raptor 1基が予定より早く停止したため、約10時間を計画していた周回飛行は短縮され、リフトオフから約3時間後に北太平洋へ着水しました。

つまり今回は、1段目も宇宙船も洋上への着水です。発射地点に戻して回収し、大幅な整備なしで再び飛ばすという設計思想の核心部分は、まだ実証されませんでした。〝聖杯〟であるとする100%の再使用に届くには、宇宙船を発射台へ帰還させて捕まえる試験を越える必要があります。

洋上に浮かぶ巨大な機体を回収する様は、本編でそのまま見られます。「Starship - The Holy Grail of Rocketry」

果たして、SpaceXが〝聖杯〟を手にするのはいつになるのか。

【映像】Starship「ロケット工学の聖杯」を追う

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