4年ぶりの〝答え合わせ〟に向けた「最も困難な活動」
欧州宇宙機関(ESA)は2026年10月7日、小惑星探査機「ヘラ」が目標の小惑星に接近するための連続減速噴射を行うと発表しました。打ち上げから2年、ミッションは山場に入ります。

スラスタ3基、93分の連続噴射
欧州宇宙機関(ESA)は2026年10月7日、小惑星探査機「ヘラ」が目標の小惑星に接近するための連続減速噴射を行う飛行ステージに入ると発表しました。ESAはこれを「打ち上げ以来、単独で最も困難な活動」だとしています。
「ヘラ」は、小惑星の脅威から地球を守る「惑星防衛」のためのデータを集める探査機です。2024年10月7日に米フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられ、発表の日でちょうど2年を迎えました。現在は秒速12km以上、東京と大阪の間を30秒あまりで移動できる速さで飛んでいます(換算は編集部)。
10月15日に、1回目となる減速噴射「BRM-1」が行われます。「ヘラ」は機体を回転させ、スラスタを目標のディディモス連星系(二つの小惑星が組になった天体)の方向へ向けます。そのうえで、ヒドラジン系の推進剤(人工衛星などで広く使われる液体燃料)を使う軌道制御スラスタ3基を約93分間噴射し、秒速にして数百m減速させる予定です。これに先立って10月2日には短いテスト噴射が行われ、本番の噴射を探査機に指示する一連のコマンドの生成が始まりました。
その後、10月22日には2回目の噴射「BRM-2」を約31分間行う予定です。この2回目では、必要とされる減速がほぼ完了する計画です。さらに10月下旬に3回の小さな軌道修正を行い、ディディモス連星系に対する相対速度をほぼゼロまで落とします。噴射後の「ヘラ」からの信号は、オーストラリアのニューノルシアにESAが2基置く口径35mの深宇宙アンテナの1基が捕捉します。
調査対象は「DART」が衝突した小惑星
減速した先に待つのが、調査対象の小惑星ディモルフォスです。ディモルフォスは連星系を構成する天体のひとつで、2022年にNASAが探査機「DART」を意図的に衝突させた小惑星でもあります。
今回「ヘラ」に課されているのは、惑星防衛の手筈が有効であったか見極めるためのデータを集めるという重要なミッションです。「DART」の衝突から4年を経て、〝答え合わせ〟がいよいよ始まります。


