「ロボット犬」のBoston Dynamics、現代自動車が全持分取得へ なぜソフトバンクは「売る権利」を行使したのか?
「ロボット犬」で知られるBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)について、現代自動車グループがソフトバンクグループ保有分の全株式を取得する手続きに入りました。2026年7月16日、現代側が公式に発表しました。引き金となった「売る権利」とは、どんな仕組みだったのでしょうか。
引き金は「IPO未達」で発動した売る権利
ソフトバンクグループは2020年12月、Boston Dynamicsの支配持分を現代自動車グループへ売却する契約を発表しました。買収は2021年6月に完了しています。そこから約5年での資本異動です。
報道された開示内容によれば、この契約には、一定期間内にIPO(株式上場)が実現しなければ、ソフトバンク側が残りの持分を定めた価格で現代側へ売却できる権利が組み込まれていました。期限内に上場は実現しませんでした。こうして権利が行使されました。売却額は約3.25億ドル(1ドル145円換算で約470億円)と報じられていますが、両社とも公式には公表していません。
今回確認されたのは、プットオプションの行使と、現代側が全株取得の手続きを進めているという事実です。取引の完了、最終的な株式配分、金額は、2026年7月16日時点でいずれも確定も公表もされていません。
全株取得の先にある「Atlasの工場投入」
現代自動車グループはCES 2026で、量産版ヒューマノイド「Atlas(アトラス)」を2028年から米ジョージア州の自社工場へ導入する計画を公表済みです。部品の順序組み(シーケンシング)など実証済みの工程から始め、2030年には部品組み立てへ広げる構想です。今回の資本集約は、この工場投入計画と時期が重なります。
売却額と売却損益が公式数値で確認できる次の機会は、ソフトバンクグループの四半期決算開示です。
出典(一次ソース)
- 現代自動車グループ公式発表(2026年7月16日) https://www.hyundai.com/worldwide/en/newsroom/detail/0000001225
- Hyundai Motor Group公式プレス「Completes Acquisition of Boston Dynamics from SoftBank」(2021年6月21日) https://www.hyundai.com/worldwide/en/newsroom/detail/hyundai-motor-group-completes-acquisition-of-boston-dynamics-from-softbank-0000000516
- ソフトバンクグループ公式プレスリリース(2020年12月11日) https://group.softbank/en/news/press/20201211_1
- Hyundai公式ニュースルーム「AI Robotics Strategy at CES 2026」(2026年1月5日) https://www.hyundainews.com/releases/4664
- UPI(2026年6月23日・売却額は報道ベース) https://www.upi.com/Top_News/World-News/2026/06/23/hyundai-boston-dynamics-softbank-physical-ai-robotics/3791782260912/
装備仕様・作戦情報は執筆時点(2026年7月16日)の公開情報に基づきます。