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「迎撃1発の価格は缶コーヒー1本分」!? 防空コストを変えるレーザー兵器とは?

イスラエルがレーザー防空システム「アイアンビーム」の初号機を軍へ引き渡しました。迎撃1発の追加費用は数ドル程度と見積もられ、高価な迎撃ミサイル頼みだった防空に弾を使わない選択肢が加わりつつあります。その安さのからくりとは。

2026-10-06
米海軍がUSSポンスに搭載したレーザー兵器システム(LaWS・2014年)。記事の主題はイスラエルのIron Beamで、これは別のシステム
米海軍がUSSポンスに搭載したレーザー兵器システム(LaWS・2014年)。記事の主題はイスラエルのIron Beamで、これは別のシステム

ミサイルによる迎撃は、撃つたびに高価な弾を1発ずつ消費します。その費用を、光で撃ち落とすレーザー兵器が大きく引き下げようとしています。

1回の迎撃にかかる追加費用は、最も安い見積もりで缶コーヒー1本分です。この値段は、どんな仕組みで生まれるのでしょうか。

弾を使わずに迎撃する「アイアンビーム」

イスラエル国防省は2025年12月28日、レーザー防空システム「Iron Beam(アイアンビーム)」の初号機をイスラエル国防軍へ引き渡したと発表しました。開発の主契約は同国のRafael(ラファエル)社です。

「アイアンビーム」は、出力100kW級とされる指向性エネルギー兵器(光を一点に集めて標的を焼く兵器)です。試験では、ロケット弾や迫撃砲弾、ドローンの迎撃に成功したとされています。

利点として掲げられているのは「無制限の弾倉」と「迎撃1発あたりほぼゼロのコスト」です(Rafael)。イスラエル国防省によると、迎撃を重ねても追加の費用がごくわずかで済む点が、このシステムの第一の利点です。

からくりは単純で、レーザーは物理的な弾を消費しません。電力が続く限り撃ち続けられるため、1発ごとに新しい弾を買い足す費用が発生しないのです。

「1発1ドル台」の見積もりの出どころ

では、その1発の費用は実際いくらなのでしょうか。具体的な数字は、米議会調査局(CRS)の報告書が収録した2021年の米海軍資料にあります。

見積もりでは、出力60kWのレーザーで1発約1.15ドルです。480kW級に大型化しても1発約9.2ドル(推定)で、高くても数十ドルに収まるとされています。同資料によると、この追加費用の大部分は、発電に使う燃料代です。

最も安い1発1.15ドルを1ドル150円で換算すると約170円、缶コーヒー1本分ほどです(換算は編集部)。

英国防省の公表値でも、艦載レーザー「DragonFire(ドラゴンファイア)」の迎撃コストは1発約10ポンドです。

一方、同じ米海軍の説明では、艦対空ミサイルの調達単価は1発数十万ドルから数百万ドルです。日本円では数千万円から数億円に相当します(換算は編集部)。

安さの裏にある取得費

ただし、安いのは撃つたびの追加費用、いわゆる「弾」を調達するコストに限った話です。取得費は、限定数量で調達した場合で60kW級1基約1億ドルと推定されています(同じ2021年の米海軍資料)。

250kW級では、艦への統合や設置の費用まで含めて1基最大2億ドルという見積もりです。

配備に至らなかった例もあります。米陸軍は、Stryker(ストライカー)装甲車に50kW級レーザーを載せた防空システム「DE M-SHORAD」を試験しました。しかし2023〜2024会計年度の評価を経て、部隊への配備は見送りとなりました。

課題は車載環境での放熱や振動だったといいます(CRSの報告書に収録された陸軍当局者の説明)。

海の上で進む試験と搭載

それでも、艦載では実装が進んでいます。米海軍は60kW級レーザー「HELIOS(ヘリオス)」を駆逐艦「USS Preble(プレブル)」に搭載済みです。

英国は、「DragonFire」を2027年にRoyal Navy(英海軍)のType 45(タイプ45)駆逐艦へ搭載する予定です。当初の計画より5年早い前倒しになりました。

日本も試験の段階に入ります。防衛省の令和9年度概算要求(2026年8月31日)では、艦載用レーザーシステムの性能確認試験の費用として47億円が計上されました。

この研究の事前評価でも、誘導弾と比べて1回あたりの対処コストが劇的に下がることが、必要性として挙げられています。

ミサイルによる迎撃では、防空の費用対効果は「1発いくらの弾を何発持てるか」で決まってきました。レーザーはそこに、弾を消費せずに撃ち続けられる選択肢を加えようとしています。

ただし1発約170円の迎撃は、60kW級で約1億ドル(約150億円、換算は編集部)と推定される取得費の上に成り立ちます。「缶コーヒー1本分」の裏に、150億円の装置が控えている計算です。

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