サイバー攻撃1,000件以上の犯罪集団 16歳が首謀者?
EUの司法協力機関Eurojustと警察機関Europolは、世界で約1,000件のサイバー攻撃に関与したとされるランサムウェアグループ「KillSec」の摘発を発表しました。

16歳が管理者とされた「KillSec」の摘発
EUの司法協力機関Eurojust(ユーロジャスト)と警察機関Europol(ユーロポール)の調整のもと、米欧9か国の当局が2026年10月1日、ランサムウェアグループ「KillSec(キルセック)」を摘発したと発表しました。参加したのはベルギー、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、スペイン、スイス、英国、米国です。
「KillSec」は2024年から活動してきたグループで、世界で約1,000件の攻撃に関与したとされています。保護が不十分なアクセスポイント、特にクラウドストレージの弱点を突いて組織のシステムに侵入し、データを自前のインフラにコピーした上で、身代金を払わなければ公開すると脅していました。支払いがない場合は盗んだファイルを誰でも無料でダウンロードできる状態にし、被害者にはデータを握っている証拠としてサンプルを送り付けていました。
グループの内部では、管理者、開発者、交渉担当、そして外部から攻撃に加わる協力者であるアフィリエイトが役割を分担していました。メンバーどうしは偽名と暗号化メッセージングサービスで連絡を取り合い、一部では多額の身代金を受け取っていたといいます。そして捜査でグループの管理者兼主要オペレーターと特定されたのは、16歳の容疑者でした。開発者役の容疑者も犯行の一部の時点では未成年で、その後18歳になったとされています。
摘発は段階を踏んで進みました。まず2026年9月30日、法執行機関が「KillSec」のリークサイトを管理下に置き、少なくとも110テラバイトのデータをさらなる不正アクセスから保全しました。そして各国が一斉に捜査へ動くアクションデーには3人を逮捕し、スペイン、ギリシャ、英国、ルーマニアで8件の家宅捜索を実施。被害者データの保管に使われていたサーバー5台と、グループが運用するドメインを押収しました。
この作戦に先立ち、ベルギー、ドイツ、ギリシャ、ルーマニアの当局はEurojustに合同捜査チームを設置し、作戦当日はEurojust内に置いた調整センターから指揮を執りました。一方、Europolは捜査報告の作成、民間企業との連携、暗号資産の追跡、デジタル証拠の分析で捜査を支援しました。
捜査はまだ終わっていません。当局は押収した機器とデータの分析、資金の流れの追跡を続けており、その先で他の被害者や攻撃、関与者が特定される可能性があるとしています。
<用語の補足>
ランサムウェア=データを人質に取り、身代金を要求するサイバー攻撃の手法。
リークサイト=盗んだデータを公開すると脅すための暴露サイト。


