米陸軍の対ドローン実験「探知・判断・対処」一式を大隊へ配備
米陸軍は2026年10月13日、英軍と共同で進める対ドローン演習「Project Flytrap(ハエトリグサの意)」を、連隊規模での訓練から旅団規模の作戦能力の養成に広げると発表しました。

課題は「撃ち落とす」から「データをまとめる」へ
米陸軍は2026年10月13日、英軍と共同で進める対ドローンと電子戦の演習「Project Flytrap(ハエトリグサの意)」を、連隊規模での野外試験から旅団規模の作戦能力の養成に広げると発表しました。この演習は、欧州東部でドローンに覆われた前線を突破することを目指すもので、2027会計年度には第2段階にあたる「Phase II」に移ります。
実験を主導するのは、米陸軍の第2騎兵連隊(2CR)です。始まりは、2025年6月にドイツのホーエンフェルスで行った小隊規模の訓練。連隊はこの訓練を通して、単一の兵器に頼らず様々な兵器を使った多層防御の必要があるとの結論に至りました。上空を飛ぶドローンに絶えず監視される戦場では、戦術指揮官が認知的な過負荷(情報が多すぎて判断が追いつかなくなる状態)に陥りやすいためです。
そこで2025年8月、連隊はポーランドでの対抗演習で、電子戦システムにより市販品と軍用の小型ドローンを撃破しました。ショットガンや5.56mm弾用のSmartshooter照準器といった物理的な手段は、距離50〜150mで使う最後の手段に回しています。一方でこの演習では、味方の無線周波数が混み合い、干渉の調整に苦労することも分かりました。
さらに2026年5月には、ポーランドとリトアニアで90時間を超える連続の実弾演習と対抗演習を実施しました。投入したのは、対ドローン、無人機、無人地上車両を合わせて50以上のシステムでした。その結果、課題は「撃ち落とすこと」から「データをまとめること」に移りました。50以上のシステムの情報が4つの戦闘管理ネットワークに分かれてしまい、1つの共通作戦図(部隊全体で共有する戦況の画面)にまとめることができなかったのです。
今回の「Phase II」は、このネットワークの統合から始まります。2026年秋の指揮所演習(司令部の手順を確かめる演習)で統合ネットワークを展開し、「探知・判断・対処(sense-decide-act)」の装備一式が少なくとも1個大隊に配備されます。そのうえで2027年冬には個人から小隊規模までの対ドローン兵器訓練が行われ、2027年春には1個大隊が、電子戦とドローン、対ドローンを組み合わせた障害突破に挑みます。
大隊規模の無人地上車両と電子戦装備は、懸賞型(prize-challenge)の契約の仕組みで調達されます。最低限使える装備をまず買い、何年もかかる通常の調達サイクルを待たずに兵士の習熟を始める考えです。連隊長のティモシー・プライス大佐は「完璧な解決策を待つのではなく、今日システムを兵士の手に渡している」と述べています。
ウクライナで課題となっている「ドローンに覆われた前線」を念頭に、米陸軍が具体的に備えを始めた形です。


