「実験室で育てた脳」が宇宙へ ISS補給便が運ぶNASAの健康研究
NASAは2026年10月12日、SpaceXの第35回・補給ミッション「CRS-35」で国際宇宙ステーション(ISS)に持ち込む4件の研究を発表しました。脳組織や耐性菌など、人体と健康について宇宙で調べる狙いがうかがえます。

ISSへ運ぶ4件の研究
NASAは2026年10月12日、SpaceXがNASA向けに行う第35回・商業補給ミッション「CRS-35」で、国際宇宙ステーション(ISS)へ運ぶ研究4件を発表しました。4件はいずれもNASA生物・物理科学部門の研究で、人間や植物の健康、そして薬剤耐性菌(抗生物質が効きにくくなった細菌)を扱います。
まず、「AVATAR ORG-1」は、実験室で育てた小さなヒトの脳組織モデルをISSに5週間置き、地上に残した同じモデルと比べる実験です。宇宙飛行によって脳細胞がどう変わるかを調べるもので、NASAが進めるプレシジョン・ヘルス(精密医療)研究の一つです。
次に、「Space Crops」は、微小重力(重力がほとんど働かない状態)のもとで、農作物の病害が地上より速く進むか確かめる実験です。病原性の真菌(カビの仲間)に感染させた植物を地上とISSの両方で育て、分子レベルでの変化や構造の違いを比べます。
そして今回は、今年ISSに導入された小型のマイクロプレートリーダーが、「Commercially Enabled Rapid Space Science(商業活用型の迅速宇宙科学)」構想のもとで初めて使われます。この装置は抗体・抗原・タンパク質などのバイオマーカー(体の状態を示す物質)を検出・測定できるため、試料を地球へ送り返さずに軌道上で分析できます。
4つ目の「GEARS(=Genomic Enumeration of Antibiotic Resistance in Space)」は、宇宙飛行士がISS内から繰り返し採った試料をもとに、薬剤耐性菌が微小重力の中でどう生き残り、どう進化するかを調べてきた実験です。今回が全4回予定されていた最後にあたり、ISSで続いてきた耐性菌の研究がひと区切りを迎える形です。


