米国防総省が空対空ミサイルの増産契約 生産量を「ほぼ倍」に引き上げ
米国防総省は2026年9月28日、空対空ミサイル「AMRAAM」の調達で、米防衛大手レイセオンと最大207億ドルの契約を結んだと発表しました。生産を「ほぼ倍」にするという大型契約に乗り出した、その背景とは。

米国防省は2026年9月28日、空対空ミサイル「AMRAAM(アムラーム)」の生産をめぐり、米防衛大手レイセオン(RTX傘下)と総額で最大207億ドルの契約を結んだと発表しました。契約日は2026年9月25日。
まず、この契約は5年間の複数年契約(複数年分をまとめて発注する方式)に、オプションの2年分を加えた形です。「AMRAAM」の生産を、従来の水準から「ほぼ倍」へと大きく引き上げるための方策だとみられています。
最大207億ドルという金額は、親会社RTXの年間売上高の20%あまり(2025年売上880億ドル超)に当たります。つまり、この1種類のミサイルだけで売上20%あまりの仕事が生まれる計算です。
「AMRAAM」とは、先進中距離空対空ミサイルを意味する英語「Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile」の頭文字から名付けられたミサイルで、現在のモデルは第5世代です。装備する国は44か国にのぼり、レイセオンによると、試験と実戦を合わせた実射の成功は7000回を超えています。
「AMRAAM」は、空対空の任務だけに使われるわけではありません。地上から空の脅威を迎え撃つ防空システム「NASAMS(ナサムス)」でも、主力のインターセプター(迎撃ミサイル)として使われています。
そして今回の契約は、2026年に先行して結ばれた包括合意の上に成り立っています。合意では、年間1900発以上の生産体制を作るとされていて、今回5年分の予算的な裏づけが付いた形となります。
では、なぜいま増産なのか。ウクライナと中東での戦闘、とりわけイランとの戦闘で米軍の弾薬在庫が目減りし、その積み直しが急務になっていると米メディアは伝えています。先行する包括合意は2026年2月4日に結ばれたもので、「AMRAAM」のほかにトマホークやSM-6などで枠組み合意がなされています。レイセオンはこれらの精密誘導弾への世界的な需要を理由に挙げ、多くの弾薬で生産能力を現在の2~4倍に引き上げるとしています。
増産そのものは既に始まっています。レイセオンは2025年、「AMRAAM」の生産量を前の年から「ほぼ倍」へと大きく増やしたといいます。全米の数百社にのぼる中小サプライヤーと連携しているレイセオンは、さらに海外の提携先との共同生産も検討しています。
調達には国防総省と米空軍、米海軍に加え、FMS(対外有償軍事援助。米政府を窓口に同盟国へ装備を売る仕組み)で調達する同盟国も関わります。
国防総省の調達及び維持担当マイケル・ダフィー国防次官は「防衛産業全体と連携して生産を拡大し、『Arsenal of Freedom(自由の兵器庫)』を築いている」と述べました。
今回の複数年契約は、議会が認めた複数年調達の権限を踏まえたものです。そして国防総省は今後、生産水準を維持するための追加の資金と権限を求めるとしています。


