「受賞者ゼロ」賞金100万ドルのDARPAコンペ 誰も越えられなかった課題とは?
DARPA(米・国防高等研究計画局)は2026年9月25日、コンペ形式で行われた「CIDAR」チャレンジで、賞金獲得に必要な性能を満たしたチームは無かったと発表しました。何が壁になったのか。

DARPA(米・国防高等研究計画局)は2026年9月25日、コンペ「CIDAR」の最終ラウンドの結果を発表しました。目標を達成したチームは無く、賞金獲得には至らなかったといいます。
競われたのは、新たな距離の測定(測距)技術です。参加チームが使えるのは画像処理アルゴリズムだけ、パッシブ測距システム(測定する側は信号等を発信せず、撮影画像だけで距離を割り出す方式)で、10km先までの距離を測らなければなりませんでした。しかも精度と、結果が出るまでの時間(低遅延)も、現在主流のアクティブ測距システムと同等であることが条件でした。
アクティブ測距の一例であるレーザー測距(レーザーを目標に当て、その反射で距離を測る方式)は高精度です。しかし測距位置で信号を発するため、観測者の位置を探知されるリスクがあります。一方、パッシブ方式の場合は測距用の信号を発しません。しかし現在の技術では、画像から距離を情報として導き出すことは難しく、適用できるのはごく一部の場合に限られています。
そこで参加者には、この差を計算イメージング(撮影した画像を計算処理して、埋もれた情報を引き出す技術)と機械学習・AIで埋めることが求められました。
「CIDAR」チャレンジが公表されたのは、2024年12月。そこから段を踏んで開催されてきました。初期段階では中小企業と大学の合わせて5チームが、2026年1月の準決勝では5チームが、それぞれ賞金を獲得しています。
そして最終ラウンドでは、参加者が新たな画像セットを解析しました。受賞の条件は、2.5kmから10kmの距離にある目標に対して、定められた測距性能を満たすことでした。
達成に最も近づいたとされるのは「Zetascope」チーム。基準値は超えなかったものの、「CIDAR」の目的と照らすと特に有望な進展を示したと評価されました。
DARPA Multi X Office副ディレクターのJonathan Hoffman博士によると、成功するかどうか分からない課題に挑むのは、今の技術で何ができて課題がどこにあるかを学ぶことができるからだといいます。さらに今回の結果からは、何が機能し、何が機能せず、何がまだ解決されていないのかが、飛躍的に明確になった、と同博士は総括しています。
最終ラウンドに用意されていた100万ドル、60万ドル、40万ドルの3本の賞金は、誰の手にも渡らずに終わりました。


