宇宙飛行士・油井さんらが受講 「月の石」を見分ける野外訓練
欧州宇宙機関(ESA)は2026年9月28日、宇宙飛行士向けの地質訓練プログラム「PANGAEA」が10周年を迎えたと発表しました。第10期には、日本人の宇宙飛行士・油井亀美也さんら3名が参加しました。その中身とは。

欧州の峡谷とクレーターを歩く3週間
欧州宇宙機関(ESA)は2026年9月28日、宇宙飛行士向けの地質訓練プログラム「PANGAEA(パンゲア)」が10周年を迎え、第10期の訓練も無事に終えたと発表しました。
第10期に参加したのは3名。ESAのパブロ・アルバレス・フェルナンデス飛行士、NASAのジャスミン・モグベリ飛行士、そして日本の宇宙機関からは油井亀美也(ゆい・きみや)飛行士が加わりました。
訓練は3週間の集中プログラム。飛行士たちはまず座学から始め、次にイタリアのブレッターバッハ峡谷、ドイツのリースクレーター、スペイン・ランサロテの火山地形と、欧州各地の野外を巡りました。
参加者たちはここで、月や火星の岩石を見分けて解釈する技能を身につけます。2016年の開始以来、これまでに受講した宇宙飛行士は4つの宇宙機関の合わせて19名にのぼります。
「PANGAEA」は現在、人類を再び月面に送る計画「アルテミス」の月面ミッションの事前訓練の一部に組み込まれています。
訓練で実際に目にし触れることにもなる岩石は、月や火星の一片でもあるとともに太陽系の歴史を物語る宝、いわばタイムカプセルであると講師で月科学が専門のキャサリン・ジョイ氏は述べています。
参加したアルバレス・フェルナンデス飛行士は、「地質学のフィルター」つまり訓練で岩石を見分ける力が養われ、風景の見え方が変わったと語っています。同飛行士はさらに、宇宙で科学者の目や手となるために、地質学の文脈を理解し、意味ある試料の見つけ方も身に付いたと話します。
今年の訓練は、全ての作業サイクルが網羅されました。個々の技能訓練に始まり、クルーオペレーション(乗組員としての共同作業)までが含まれたと、プロジェクト責任者のロレダナ・ベッソーネ氏はいいます。
そして仕上げにあたる最終週のランサロテでは、野外での「自律性」を重視しました。宇宙飛行士は遠く地球からの支援を受けながら探査する想定で、自分で観察し、自分で判断しました。


