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川崎重工の人型ロボが荷物を両手で運搬 AI開発はわずか6週間

大学発スタートアップの松尾研究所と川崎重工業は2026年10月13日、人型ロボット「Kaleido9」が約22.7kgのカゴを持ち上げて運ぶ動作を実現した強化学習AIを共同開発したと発表しました。学習から実機検証まで約6週間という速さに、AIの研究組織とロボットメーカーによる分業の強みが発揮されています。

2026-10-13
イメージ図仮想空間での強化学習から、川崎重工業のヒューマノイド「Kaleido9」の実機で両手にカゴを持ち机に置くまでの流れを示した図(画像提供:川崎重工業)
仮想空間での強化学習から、川崎重工業のヒューマノイド「Kaleido9」の実機で両手にカゴを持ち机に置くまでの流れを示した図(画像提供:川崎重工業)
図版:prtimes.jp発表元の報道用素材(権利は発表元に帰属・報道目的での利用)

開所式で約22.7kgのカゴを両手で運搬

大学発スタートアップの松尾研究所は2026年10月13日、川崎重工業と連携し、同社のヒューマノイド(人型ロボット)「Kaleido9」向けの強化学習Policy(AIが試行錯誤を繰り返して身につけた、動作の判断ルール)を共同開発したと発表しました。松尾研究所は2020年設立で、東京大学の松尾・岩澤研究室の研究成果の開発・実装を担っています。

デモの舞台は、2026年5月21日に米カリフォルニア州サンノゼで開かれた、川崎重工の施設「Kawasaki Physical AI Center San Jose」の開所式。「Kaleido9」はこの式典で、合計約50ポンド(約22.7kg)のカゴを両手で持ち上げ、机の上に置きました。約22.7kgは、2Lのペットボトル11本分を超える重さです(編集部換算)。

シミュレーションで学び実機へ移す「Sim2Real」

このデモを支えたのが、今回発表された開発プロセスです。AIはNVIDIAのシミュレータ(現実に近い仮想空間でロボットを動かせるソフトウェア)の上で強化学習を重ね、覚えた動きを実物のロボットへ移す「Sim2Real」という手法で開発されました。学習から実機検証までの全体フローは、開発着手から約6週間で完成したとされています。検証の舞台は、羽田にある川崎重工の実験拠点「KAWARUBA」でした。

開発では、松尾研究所が深層学習と強化学習の研究力を、川崎重工が高トルク(大きな力を出せる性質)と高剛性(力を受けても形が崩れにくい頑丈さ)のハードウェア技術を、それぞれ持ち寄りました。そして、この頑丈なハードウェアの性能を引き出すようにAIモデルを設計したことで、重い物を持ったまま安定して置く一連の動作が実機で実現したとされています。

川崎重工の橋本社長は、まず医療や介護の分野に注力して「病院ワンストップソリューション」を確立し、将来は半導体、自動車、ニューモビリティにも広げるとしています。目指すのは人の置き換えではなく、人の判断と行動を支えるフィジカルAI(体を持って現実世界で働くAI)だといいます。

こうした構想の背景には、政府の後押しがあります。政府の成長戦略ではフィジカルAIが重要分野と位置づけられ、2040年度までに官民で10.5兆円規模の投資が計画されています。両社も今後は医療や介護を皮切りに、製造、物流、建設へと対象を広げ、エコシステム(企業や研究機関が成果を持ち寄って育て合う協力の輪)をつくることを目指すとしています。

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