「アルテミスII」で記録された月への隕石衝突 データをNASAが公開
NASAは2026年10月7日、月周回ミッション「アルテミスII」の宇宙飛行士が、月面で起きた隕石衝突の記録を書き込んだ画像を公開しました。宇宙での息遣いが聞こえてくるかのような貴重な記録には何が記されているのか。

タブレットに書き込まれた5回の閃光
NASAは2026年10月7日、有人月周回ミッション「アルテミスII」の宇宙飛行士が、月面で閃光が確認された場所を手書きで記した画像を公開しました。宇宙船「オリオン」に宇宙飛行士4人が搭乗した「アルテミスII」は、2026年4月1日から10日にかけて行われ、月を周回しました。
公開された画像は、4月6日に作成されたタブレット画面のスクリーンショットです。宇宙船が月の裏側に差し掛かり、日食状態になった際に宇宙飛行士が確認した閃光の場所と順序を色分けして書き込んでいます。NASAのReid Wiseman宇宙飛行士が青、Victor Glover宇宙飛行士が緑、CSA(カナダ宇宙庁)のJeremy Hansen宇宙飛行士が赤で記録。薄紫で書かれているのは3人の記録を突き合わせた上で、閃光発生の順序を整理して記入されたものです。
3人が閃光を確認した場所は、5か所。記録したのは、いずれも「extremely faint "pinprick" bursts of light(極めて微弱な、針穴ほどの小さな光の点)」と表現された、かすかな光でした。このとき宇宙船「オリオン」は、月から約7万4000km離れた位置を飛んでいました。
閃光が確認されたのは、宇宙空間を飛ぶ岩片が月面に衝突して生じたものだとのこと。衝突する岩片そのものはわずか数インチ(1インチは約2.5cm)程度であるものの、衝突時の速度は時速数千マイル(1マイルは約1.6km)に達していたとされています。ごく小さな岩であっても、非常に速い速度で月に衝突したため、閃光が発生した形です。
宇宙飛行士たちが観測したのは隕石による閃光だけではありません。月の裏側を飛行する間の約54分間に渡って皆既日食となったため、ふだんは地球上の短い日食の間にしか見られない太陽コロナ(太陽の外側に広がる高温の大気)なども確認したのです。
800ギガバイト超のデータも同時公開
そして同じ10月7日、こうした観測の成果一式が、NASAの惑星科学データの公開アーカイブ「Planetary Data System」で公開されました。その量は800ギガバイト超。宇宙飛行士たちの手持ちカメラや「オリオン」搭載カメラによる、フル解像度の月の画像・動画が11,000点超、月面観測を語る宇宙飛行士の音声が8.5時間分あり、今回公開された画像も含まれています。
NASAは公開したデータを「人間によって取得された惑星のデータセットとしては実に半世紀以上ぶりのもの」とその貴重さを強調しています。あわせて、中間報告書(Artemis II Preliminary Lunar Science Report)を含む報告書3本も同時に公開されました。
宇宙飛行士たちが、未知なる宇宙で記録したデータ。観測したときの興奮をも感じとることのできる貴重な資料です。


